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聖ローレンツ教会

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ニュールンベルグにゴシック教会が二つ聳えています。そのひとつは聖ローレンツ教会。13世紀から15世紀にかけて建てられた聖ローレンツ教会は町の繁華街に建っています。ちょっと脇に離れて建っている聖セバルダス教会と比べると、観光客の出入りが多いです、といっても混み合う程ではないのですが。18年間ニュールンベルグで暮らしていた時は静けさを求めて聖セバルダス教会の方へよく向かっていましたが、 聖ローレンツ教会にはそんなに関心を持つこともなく、最初の頃数度のぞいてみただけで、いつも素通りしていました。ところが4年前とても意気消沈するようなことがあって、丁度この教会の前を歩いていた時にふと入ってみる気になって入ってみたら、思いがけなくこの教会に魅せられることになったのです。

聖ローレンツ教会のバラ窓は美しい

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聖堂内部から見た聖ローレンツ教会のバラ窓

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教会の重たい扉をギギギーッと開けると、薄暗い聖堂の中、10数メートルほど先にある柱に高い位置にある窓からもれてくる仄かな光に照らされた一体の聖母子像が目に入りました。 
後ろに佇んで、しばらくその聖母子像を離れたところから眺めていましたが、引きつけられるように側まで寄ってみました。

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その 聖母子像 は13世紀の初頭に作られたこの教会の中で一番古い像だそうで、 
聖母は健康そうな薄紅色のふっくらした頬をして、まなじりを優しそうに下げ、口の両端をやや上方に引き上げて、片腕に抱いた御子ににっこりと微笑みかけている姿でした。 
聖母と向かい合ってその腕に護られているように座っている御子も喜びに満ちた瞳で聖母を見上げ、ふっくらとしたピンク色の頬に笑くぼを作って微笑んでいます。 

聖母子像というのは大抵沈静な表現で、聖母の慈愛に満ちた微笑にも御子を待ち受けている受難を予感するかのように少し憂いを秘めたものが多いですが、この聖母子像は今まで見た聖母子像とは違っていました。 聖母も御子も表情がとても豊かで喜びを表しているように感じられました。

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その 聖母子像に魅了されてしばらくその前に佇んでいましたが、そこから前方の上の方に虹のアーチの上にかかっている十字架に気付きました。その十字架はよく見かける磔用の十字架ではなく、生命の樹の形をしていました。その生命の樹の十字架に死を克服して復活したキリストが結ばれているのでした。この復活の栄光を象徴した生命の樹の十字架を見上げていると、それまで縮こまっていたハートに光が灯り、その光がぐるぐる廻っているように感じ、両手も温かくなってきました。何だか解放されたような穏やかな心持ちで聖堂を後にしました。それからというものの、ニュールンベルグを訪れる度に聖母子像と生命の樹の十字架に会いに行くのを楽しみにしています。

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by honeyfire | 2010-12-29 19:04 | ドイツ南部